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ロケを支えた人々

ロケを支えた人々①

仙台市交通局

高校生の頃から惹かれ合いながらも、それぞれの道を歩む弥生(波瑠)と太郎(成田凌)。「弥生、三月」で走る電車は、人生の中でつかず離れず交錯する思いを象徴するようだ。

サクラ(杉咲花)のメッセージを受け取り揺れ動く弥生を乗せたのは、仙台市地下鉄。撮影は愛宕橋駅の営業終了後から始発前まで、夜を徹して行われた。当初は時間上困難が予想されたが、試運転車両や基地も活用するという機転でロケが可能に。部署を越えた協力により、映画撮影が実現した。

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地下鉄での撮影は、駅ならではの難しさも伴う。関係者、機材運搬の安全を守ることはもちろん、24時間体制の駅務員の休憩確保や、始発運転に間に合わせるための管理が求められる。鉄道管理部の遠藤渉さんは、撮影がスムーズに進むよう事前の情報共有に細心の注意を払っていた。

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当日運転を行ったのは、運転士の朝倉龍太郎さん。もともと映画好きで、上司からの打診に「やります!」と即座に引き受けた。主人公が発車間際に電車を降りるという難しいタイミングのドアの開閉を任され、合図と操作のタイムラグが生じることに悩んだが、反対側の運転席に乗り込むことで解決。出演者を目の前にして強い緊張感の中撮影をこなした。「重要なシーンを担当させてもらい運転士として光栄ですし、映画になっているのを見たら涙が出るくらいうれしいです」と振り返る。

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何気なく映る車両の選定にも、実は配慮が必要だ。鉄道技術部の小野寺正博さんがこの調整を担当。車内には多数の広告が掲示されているため、つり革広告がなく、掲示のパターンが同じものを選ばなくてはならない。かつ点検にも影響の出ない車両を提供した。

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仙台市地下鉄が映るのは、シリアスだが物語の岐路となる重要な場面。作品に貢献する感動とともに、「地元の方、鉄道ファンをはじめ映画を見た方に仙台の電車に気付いてもらえたら」と期待を胸に、電車は今日も走り続ける。

(取材・文 山口史津)